【自宅墓】自宅墓とは/ご遺骨の自宅保管は当たり前になる?

自宅墓とは

自宅墓とは、自宅の室内にてご遺骨を保管・供養するためのケース全般(お骨壺・納骨棚・家具etc.)をさします。

ここ数年で、ご遺骨を自宅で保管することを前提としデザインされたお骨壺が増えています。

ご遺骨は菩提寺のお墓へ納骨することが江戸幕府の禁教令(キリスト教廃止)から始まり当たり前に行われてはいますが、現代人の生活スタイルや死生観の変化により新しいお墓のあり方や供養方法が次第に受入れられるようになり、それに併せてお骨壺を作るメーカーや窯元など、自宅に置いても違和感のないお骨壺の制作に取り組むようになってきています。

自宅墓となる器には決まりは無く、大きさ、形、素材も様々で、ハンドメイドで用意される方もいます。また、故人の愛用していたレターケースやジュエリーケースなどでも問題はありません。

納骨棚や仏壇をハンドメイドで作ったという方もいらっしゃいます。

自宅墓のメリットとデメリット

【自宅墓のメリット】

自宅墓のメリットは、供養を自分のスタイルで出来るという点が最も大きいと言えます。慣習に捕らわれること無く、日常生活の中で故人を思い、お墓参りのために遠出する必要がありません。

無宗教や仏教を信仰していない場合、菩提寺に納骨するために生じる費用(仏式葬儀・納骨手数料・管理費・回忌法要等)を防ぐこともでき、居住地が変わる場合、簡単に移動ができるため、改葬や墓じまいの必要がありません。

  • 慣習に捕らわれない日常生活での供養
  • 時間やお金を無駄にしない
  • 居住地が変わる場合、簡単に移動が出来る。

- 仏教徒でも自宅墓は可能 -

仏教徒であっても、自宅墓を選択する方はいらっしゃいます。菩提寺に代々墓がある場合、「納骨してしまうと遠くて会いに行けなくなる」「ご遺骨を手元から離してしまうことに寂しさを感じる」など、理由はいろいろですが、その場合、菩提寺の僧侶に相談すると、代々墓へ納骨しなくても、ご自宅にて法要を行ってくれる場合もあります。

また、菩提寺の僧侶の法要が叶わなくても、「お坊さん便」など僧侶の派遣事業も今では需要を増しており、仏教でも様々な宗派の僧侶を派遣して頂けるようになりました。

自宅墓であっても仏式の供養も行えるようになっています。

【自宅墓のデメリット】

ご遺骨をご自宅にて保管することは法的にも問題はありませんが、ご遺骨は墓所として認められた場所以外に埋める(埋葬)ことが出来ません。

これは、一般墓でも同様で、承継者がいなくなった場合やお墓の収納スペースにご遺骨がいっぱいで納骨出来ない場合などは、新しいお墓へ埋葬するか散骨するなどしなくてはいけません。

自宅墓のご遺骨は、所有者が手元にあるご遺骨を、最終的に納骨するお墓を見つけ埋葬するか、散骨を選択しなくてはいけません。

散骨という選択

散骨を規制する法律はないため、基本的には自由に行うことは出来ます。1991年に散骨に関して「葬送の為の祭祀で、節度をもって行われる限り違法ではない」と法務省も発表しています。散骨を行う上で重要なのは「節度をもって」という部分になります。ご遺骨と分からない様に粉骨加工する必要があり、また、観光地・河川・養殖場・住宅地・所有者のいる土地、建物・条例により散骨を禁止している場所等は避けなくてはいけません。

業者に頼まず個人で散骨する場合

◆個人の所有する船、又は貸しボートのレンタル等で沖まで出ての散骨→ 沖合で漁場や海水浴場などから離れている必要があります。

◆個人所有の山林に粉骨。自分で所有している山林か、山林所有者へ許可を得て散骨。→ 水源近くは避ける必要あり。山林は国有地や地方時自体が管理していることが多く、その場合は殆ど許可をとることは難しい。

◆住み慣れた自宅敷地内にて散骨(所有地)

自宅散骨は地方の近隣住宅に影響を与えない場所で行われることが多く、住民トラブルや訴訟問題になりかねない都心や住宅街などでは耳にしたことはありません。

住宅街などでは所有地以外の地価に影響を与える可能性もあり、近隣トラブルに発展する可能性があるからです。

※注意:住宅は(宅地)のため、墓標は建てられません。

実際に業者へ依頼せず個人で散骨される方はいらっしゃいますが、風評被害などで相手に不利益を与えたり、トラブルになるような場所では行えないので注意が必要です。

一般墓のメリットとデメリット

墓地には「寺院墓地」「公営霊園」「民間(民営)霊園」があります。

厚生労働省は『墓地経営・管理の指針等について』の(2)墓地経営主体について「 墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られること。」としています。

つまり、霊園・墓地として経営が許可されているのは「寺院墓地」「公営霊園」宗教法人・公営法人より委託を受けている「民間霊(民営)霊園」のみとなります。※民間企業は直接、墓地経営を行うことは出来ません。

寺院墓地のメリット・デメリット

寺院墓地はお寺の敷地内に有り、お寺が管理運営する墓地となります。

メリットとしてはお寺が管理し、供養をしてくれるという安心感があげられるでしょう。

菩提寺の代々墓でなくとも、永代供養塔などであれば、良心的な価格で宗教・宗派問わず対応してくれるお寺も多く見受けられるようになり、都心であっても身近に埋葬・お参りできるお墓があるのはメリットと言えます。

デメリットとしては、菩提寺で代々墓へ納骨を希望する場合、仏式葬儀や法要を強いられ金銭的な負担が生じる事があります。また、代々墓の使用権があっても、無宗教で仏式葬儀を行わなかった場合、納骨を拒否されることもあり、代々墓を所有し檀家であることによる金銭的負担や宗教的縛りは、墓じまいに拍車をかける要因の一つとなっています。

また、お寺も昨今縮小傾向にあると言われています。宗教離れや継承者がいないなどが理由としてあげられますが、2040年には40%近くのお寺が消滅するというデーターもあります。その場合、お墓に納められたご遺骨はどうなるのかという問題が生じます。

民間霊園のメリット・デメリット

民間霊園のメリット・デメリット

民間(民営)霊園とは公益法人・宗教法人から委託を受けた民間企業が管理運営している墓地です。宗教法人が母体の場合は宗教的制限は完全には拭いきれるとは言いがたいのですが、公益法人の場合、宗教色がなく。宗教不問で契約でき、設備や管理が行き届いていることも多いようです。

デメリットとしては、民間霊園は母体が宗教法人であっても委託している民間企業の経営状態が悪化した場合、倒産することもあります。運営元が変われば、契約の見直しが生じることもあり、購入当初の約束が継続されるという確約はありません。

公営(墓地)霊園のメリット・デメリット

公営霊園(墓地)とは、地方治自体が販売・管理・運営ししている墓地を指します。

公営霊園は運営主体が地方時自体であることから、費用も安く、宗教の制限が無く、利用者としての義務も生じず、倒産などの問題も無いことから公営霊園を望まれる方は多くいらっしゃいます。その人気のせいもあり、倍率が高くなかなか当たらないという点がデメリットとなります。また、安いとは言え都心の好立地の場所では値段も上がりますので、費用を抑えたいと考える場合は場所を選択する必要があります。

需要が高まる自宅墓

何処のお墓を契約するにしても、デメリットは存在します。人気のある公営霊園の申込みを希望する人の中には、当たるまでの間、何年もご遺骨を白いお骨壺のままご自宅にて保管していらっしゃいます。また、代々墓を承継していても「遠い」「宗教的に縛られるのが嫌」「経済的負担を避けたい」などの理由でお墓への納骨を躊躇い、納得のいく埋葬・粉骨などの手段が見つかるまでご遺骨を手元に置かれている方も多くいらっしゃいます。

昔の慣習に従い四十九日や一周忌等を目安に納骨しなくてはという納骨の制限時間に縛られる必要はありません。

冒頭でも述べたように、ご自宅のインテリアに即した違和感のない素敵なお骨が多く作られるようになり、ご遺骨をご自宅に保管する抵抗感も低くなってきています。

これから、お墓不足や宗教離れを背景に、様々な埋葬・散骨サービスが生まれる可能性もあります。

自宅墓は、埋葬や供養のスタイルを検討する上での選択肢の一つと言えます。

体験談

3年前にご主人を亡くしたAさん。

親戚や友人から「もうそろそろ、お墓に納骨したほうが貴方やご主人のためだよ」とお墓への納骨を進められているとのこと。

また、子供たちは葬儀場から持ち帰ったままの姿(白いお骨壺)で実家にお父さんのご遺骨があることに抵抗を示しており、Aさん自身もこのままではいけないと思うのだが、行動を起こそうとすると悲しみが止まらなくなり、未だにご主人の死を受入れられないと話します。

せめて居間に置いても抵抗のないお骨壺にご遺骨を入れ替え、家を尋ねてくる友人や家族が抵抗なく手を合わせたり、話しかけたり出来るようにしたいとのこと。

粉骨には抵抗があることが話の中から見えてきたため、粉骨加工することがないよう、7寸大のお骨壺をご自身で探して頂き、ご自宅へ伺いご遺骨を新しいお骨壺へお移しさせて頂きました。

お骨壺はリビングの飾り棚に置かれ、横には生前の写真と良く飲まれていたという日本酒とおちょこが添えられました。

ご家族やご友人も、生活の中でご供養されているAさんの姿を見て、お墓への納骨を進めなくなったと言います。

ご自身は、自分が生きている間、ずっと側に主人がいてくれると思うと安心でき、以前より前向きに生活できていると話します。

将来的には埋葬か散骨を選択しなくてはいけませんが、Aさんご自身が亡くなった際に、ご主人と一緒であれば何処へ納骨してもらっても構わないと子供たちにも話しているそうです。

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